“あの頃、部活動で一区切りの目標を達成し、 軽い虚脱感があった 君と僕は大人ではなかったけれど 恋を語るには充分に成熟していた しかしお互いに恋については何も語らず 表面的な、勉強の話だけしていたのだった 当時は交換日記というものをしている恋人たちもいたのだが 私達はそのような進みゆきにはならなかった 憧れはあっても自分が恋に値するとも思っていなかった もう一度繰り返したとしても たぶん私達は友達のままで終わるのが良いと 思うに違いないだろう 淡い思いである 現代のようにあからさまな世の中になっ2015-06-08

“あの頃、部活動で一区切りの目標を達成し、
軽い虚脱感があった
君と僕は大人ではなかったけれど
恋を語るには充分に成熟していた
しかしお互いに恋については何も語らず
表面的な、勉強の話だけしていたのだった

当時は交換日記というものをしている恋人たちもいたのだが
私達はそのような進みゆきにはならなかった

憧れはあっても自分が恋に値するとも思っていなかった

もう一度繰り返したとしても
たぶん私達は友達のままで終わるのが良いと
思うに違いないだろう

淡い思いである

現代のようにあからさまな世の中になってみると
淡い思い、抑制された情熱というものは、貴重に感じられる
なんでも出来たがなにもしなかったことが
むしろ私の人生を肯定してくれるのである

そのようにして人生で一度きりの思春期前半が過ぎていった”

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