生きていても何も面白いことはないが
猫の餌のためなら働きたいと思って
葬儀屋で運転手のアルバイトをした
マサチューセッツの夏の午後が放つ匂いと音
楓の木の下のブランコを思い出す
異邦人にとってそんな場所しか落ち着ける場所がなかった
教会には二重に違和感をいだいていた
黄色人種であること
異教徒であること
私は宗教的信条は特段ないのだけれど、そのことは無神論者と解釈される
そのことはキリスト教徒にとってはイスラム教徒であるよりも悪いことらしい
宗教的多元主義とかの話が通じる人はいいのだけれど
そうでない人も多かった
夜には一人になれるから安心出来る
誰とも話さなくてもいい
一人で海を眺めていることが多くなった
海というものはひとりでに大きく変化することはない
変化するのは太陽の位置だ
しかし海は森のように変化しないものでもない
常に波も起こり
注意深く観ていれば潮の満ち引きもある
大きくは変化しないが注意深い目には多少の変化を見せてくれる
そんな意味で海は私にちょうど良かった
子供の頃の田舎の田んぼの様子を思い出す
日々の変化は少ないけれど
たしかに実りのときに向かう自然